歯周病とは細菌が引き起こす歯肉の炎症の総称です。お口の中には数えきれないほどの細菌が潜んでおり、歯磨きや口腔ケアをおこたったり、適切な歯磨きや口腔ケアができていなかったりする場合に、細菌が増殖することによって、歯肉に炎症をもたらします。歯周病は最も身近な疾患でありますが、さまざまな影響を与えてしまうことが近年報告されています。そこで今回は歯周病について詳しくご紹介して参りましょう。
歯周病はどんな病気?
歯周病は細菌が引き起こす歯肉炎の炎症の総称であり、お口の中には常に300~400種類以上の細菌が存在しており、お口の中を清潔に保てていないと増殖していきます。
その中でもアクチノバチルス・アクチノマイセテムコミタンス(A.A菌)、プロフィロモナス・ジンジバリス(P.G菌)、プレボテーラ・インテルメディア(P.I菌)、スピロヘータなどが歯周病の代表的な原因菌として考えられ、これらの菌は空気が薄い場所を好み(嫌気性菌)、歯と歯肉の間の溝である歯周ポケットに住み着きます。
歯周病菌は増殖すると毒素を排出し、歯を支える歯周組織と呼ばれる歯肉、歯槽骨、セメント質、歯根膜を蝕んでいきます。初期の段階であれば歯肉の炎症程度でありますが、徐々に進行して行くと、それら歯周組織を溶かし、最終的には歯を支えきれなくなり、歯が抜けてしまいます。
歯周病は全身にも影響を与える?
近年、歯周病はお口の中に影響を与えるだけではなく、全身に影響を与える恐れがあることが報告されています。
▼誤嚥性肺炎
お口の中に潜む歯周病菌が気道に誤って入ってしまうことで、肺炎を引き起こしてしまう恐れがあります。日本人の死因第5位の肺炎であり、その90%以上が65歳以上であると報告されています。
▼脳梗塞・心筋梗塞
動脈硬化した血管から歯周病菌が発見されたことから、歯周病菌によって動脈硬化を促してしまう恐れがあることが報告されています。
▼細菌性心内膜炎
心内膜炎の30%~40%が、歯周病菌が原因で症状が引き起こされているといわれています。
▼早産・低体重出産
切迫早産であった場合、歯周病菌が関連していることが近年の研究結果として報告され、その感染ルートは胎盤を通過して直接的な影響を与えている可能性が高いとされています。
▼糖尿病
歯周病が改善すると、血糖コントロールも改善する傾向があることが多く報告され、逆に歯周病が悪化すると、血糖コントロールも困難になるため、糖尿病の場合には適切な歯磨き、ケアをおこない、プラークコントロールすることが重要だと考えられています。
以上、今回は歯周病について詳しくご紹介して参りました。お口の健康を維持することは、全身の健康にも繋がります。歯周病を防ぐためにも、歯科医院へ定期的な受診をしましょう。